ピンチ

巡礼中に肉体的にも精神的にも一番ピンチだったこと。

巡礼最終日の前日。
ずっと胃の調子が変だったので夕食は殆ど取れず。
と思っていたら夜中に腸のあたりに激痛。おさまらない。
トイレとベッドの往復で一睡も出来ず。(たぶん疲れと水のせい?)

巡礼最終日の朝食も痛くて痛くてとても食べれたものじゃなかった。
おなかの痛みの具合からしてどうも一年前の夏になった急性腸炎と症状が似ている。。。ひどくなると立てないくらいに痛くなるのでびくびくしながら早朝、日の出前に歩き始める。

この日は運悪く嵐。しかも今日に限ってスコールではなくいつもまでも強く降り続いている。途中電灯もない真っ暗な山の森のなかで一緒に歩いて来たクララや仲間達とはぐれる。迷子になったか?真っ暗なうえに土砂降りで道案内の矢印が見えない。もはや懐中電灯なんて役立たずだ。どこかの分岐点で矢印を見落とした恐れもあるかも。

『いったいこの道で良いのだろうか・・・昨日の夜聞こえていた遠吠えは狼だったのだろうか・・・』とマイナス思考始動。(スペインには野生狼がいます。たぶんずっともっと山奥に生息しているのだろうけど・・・と思う。)定期的に波のように襲ってくるお腹の痛みでときどき歩けなくなり立ち止まる。

こんな不利な条件ってあるんだろーか・・・・
とそのとき、キ=====ン!!!!!と耳をつんざくものすごい金属的な轟音が。
何だ?!
辺りは真の闇。
道はわからない。
土砂降りでずぶねれでお腹は痛いわその上どう考えても不自然な鼓膜がやぶれそうなくらいの金属音。まったくわけがわからず、その場で動けなくなる。不安を通り越してほとんど瞑想状態。

貴重な体験でした。

その後クララとハビエルに再会。二人は、ぜんぜん来ない私を心配して途中で待っていてくれたのだ。(ちなみに私が歩いていた道は間違っていなかったようだ。)三人でバルを見つけてそこで少し休む事にした。ひさびさにマンサニージャ(カモマイルティー)を胃に入れる。あったかい。
地図を見てみたらあの無気味でシュールな金属音は、なんとすぐ近くに飛行場があった為始発の飛行機の離陸音だったと言うことが判明。なるほど、だから半端じゃない爆音だった訳だ。

全くわけのわからない究極状態に陥ると不安や痛みをとおり超して、心ってぽっかりとどこか違う場所に飛んじゃうものなんだなと思った。