LUNES SANTO
聖金曜日(明け方)
木曜夜のプロセッション/行列が中止となり懸念されていた天気。
私はカルメン宅でみんなと夜食をとりながら
TVで他の地方のセマナ・サンタ生中継を見ていました。
雨は降り止まず、セビージャでは多くのプロセッションが中止。
TV画面には涙に暮れる人々の顔が写し出されています。
地形的にセビージャの雨は2時間後にラ・ランブラにやってきます。

今夜のパソは『ナサレノ』と呼ばれるイマーヘン/彫刻のパソ。
ラ・ランブラでは明け方4時から午後1時まで約9時間をかけて町中を練り歩く
クライマックスのパソです。
この町ではナサレノパソが出る時は、ここ30年間一度も雨がふったことがない
『奇蹟のナサレノ』と呼ばれていました。

多くの人がこの『ナサレノ』のイマーヘンに願をかけています。
『ナサレノ』に願をかけると難病が治る、危機一髪で命が救われた等
奇蹟が起きると何世紀もの間、今でも信じられているのです。

そしてそれでなくともこのナサレノはラ・ランブラのアイドルなのです。
普段は熱心な信者でなくともみんなこのイマーヘンに愛着をもっているのです。

プロセッション出発の午前4時。雨は止みませんでした。
人々は信じられない気持ちで、そしてどうしても諦めきれず
午前8時まで天候の回復を待つことにしました。


そして朝。日がのぼると厚い雲におおわれてはいるものの雨は止んでいました。



エスピリトゥ・サント教会から担ぎだされるナサレノ。
プロセッションは教会からパソが運び出されるところがいちばん素晴らしいと言われています。
担ぎ手たちが教会の低い扉を中腰になって先導者の合図に忠実に運び出す
繊細でとても技術の要る仕事だからです。

雨で出発時間が変更になったため今年は人出が少なめで、
毎年この運び出される場面を見るのは難しいと言われていた
一番人気のナサレノの運びだす場面を運良く見ることが出来ました。


マグダラのマリア、『ベロニカ』の場面。
磔刑となったキリストの血まみれの顔を彼女が布で拭うと、
その血が拓本のようにキリストの顔を写し取った、と言われる場面です。
どこだったか忘れたけどたしかこの布は実存してるんですよね。


次にアマルグラのパソが出てきました。
アマルグラ/悲嘆のマリア像です。

アマルグラの顔。PCで無理矢理拡大なので画像荒れててよくわかりませんね・・。
このマリア像顔が昔の少女漫画チック。幼な顔の星目に涙。


パソの下からちらりとコスタレロ/担ぎ手達の足がのぞいています。


ブラスバンド。太鼓セクションの少年。


そしてやっぱりみんな行列のあとについていくのでした。
今日のプロセッションについていく人は長いロウソクを持って歩く習慣なのですが、
出発の時間がずれて明るくなったためロウソクを持っている人は少なかった。



奇蹟のナサレノ。
十字架を運ぶ場面のキリストの事を「ナサレノ」と呼びます。
この彫刻はセビージャの有名な同じくナサレノを彫った彫刻家ホアン・デ・メサと同じ手によるものだそう。
セビージャの方は顔と手のみの彫刻に衣装をかぶせたものだが、こちらは全身像。
身体には鞭で打たれた傷や、なまなましく血が流れたあとまで描かれています。(衣装で見えないけど)
1622年作の木彫像です。