手放す ~点滴堂企画展

何年か前に私は一度、うつわづくりを手放しました。
その頃は絵皿へと顕すビジョンがつぎつぎに顕れてきて
それを顕現するお仕事をさせていただくようになって行った時期でした。
 
それまでの20年以上の間は
ほとんどが食器を作ってきていましたが、
絵皿を制作するようになってがらりと作風が変わり、
それにともなって作品をお取り扱いいただくお店も
そしてお客さまも
がらりと変わりました。
 
そういった大きな変化の4、5年の時期を経て
陶芸という枠を越えさせていただくような
これまでにない幽顕を結ぶ出来事が次々と起こり
(それはここにはとても書ききれない出来事で・・
いつか工房イソラでお茶会など開いたときに
ご縁ある方とお話できたらとも思っています。)
らせんを描くようにして
ぐるりとまた「うつわ」というものへ
いま還ってまいりました。
 
「うつわ」に還ってこられたのは、
わたしの内側に既存の概念で作られた様々な枠が壊れて、
「うつわ」の本質に近づくことができたからのように感じています。
 
ひとつまえのおぼえがきに、
『ひとつのうつわ=ひとつの宇宙』と書きました。
これは比喩でもなんでもなく、書いたとおりそのままです。
大地からお分けいただいた土と水、火、金、
そして炉内に発生する氣流によって焼成が成し遂げられます。
土を練る時には植物のエッセンスの力、水の力をお分けいただき、
天地結んだ私の体の筒を通して宇宙につながっています。
作陶にはいるとつぎつぎにメッセージやビジョンが浮かび、
それが作品に転写されます。
焼成にはいると、すべて太郎くん(窯の名前)に
そして全宇宙におまかせします。
時には焼成温度が数字で降りてくるので、
知識も経験も関係なくその温度で焼成すると、
これまで見たこともないようなうつわが焼きあがります。
いま私が作っている作品はそうやって顕されたものです。
この宇宙的な懐かしくて新しいシステムで
作品を顕現できることに幸せを感じています。
 
どんなに私の作品が変化しても変わらずに
作品をいつも大切に思って下さる
ギャラリーさまとお客さまがいまも居て下さることは
本当にありがたくて、とても心強いことです。
私を支えてくださる、
一緒に新しい地球を、ひいては宇宙を
お受け取りいただいているみなさま。
そうして、昔も今も変わらず支えてくださるギャラリーさま。
改めまして心から感謝申し上げます。
 
 
点滴堂さんもいつも変わらず作品を第一に大切に扱って下さる。
懐かしい作品は資料として最後の1点ばかりは
手元に置いておくものなのですが、
クリスマスらしいモチーフということと、
そして点滴堂さんなら、と思い手放します。
写真のヒツジの親子のうつわ。
当時ラスター釉を多用していた時期でもあり、
うつわ内側の虹彩が美しいです。

偶蹄目ヒツジが四本足でしっかり立っています。
ただいま出展中の作品のなかで、もっとも昔に作ったものです。
これはじつはカフェオレボウルとして作ったもので、
たとえば、お家にお友達をお招きしたときに、
『どうぞ』とこれにカフェオレを淹れてお出ししたら
どんな顔するかしら・・と想像して・・
そんなところからうまれてきたものなのでした。
このうつわは当時たくさん制作していて、
たくさんお迎えいただきました。
ご購入下さった方の中には、
ご高齢のお母さまが、手をすべらせて器をよく割るので、
これはヒツジの四本足にうまく手が引っかかって持ちやすいと
母にプレゼントしたら喜ばれました、という嬉しいご報告をいただいたり、
また新婚さんがペアのごはん茶碗としてご購入下さったことも印象的な思い出です。(これにご飯を山盛り盛ると、まあるい体のヒツジになりますね♪)
 
 
時が来たのを察知したらどんどん手放していくことで
星は巡り命が活かされるのを実感しています。
 
12月25日まで点滴堂さん企画展にて
新旧合わせて今回数多く作品ご覧いただけます。
どうぞよろしくお願いいたします*
(月、火曜日は定休日ですのでご注意くださいね)
 
 
◆点滴堂企画展『星降る夜のクリスマス・2022』
12月14日(水)~12月25日(日) 月・火定休
12:30~20:00 ※作家の在廊はありません
会場/点滴堂
http://tentekido.info
東京都武蔵野市中町1-10-3 2階 tel.090-6796-5281

 
 
 

鉢『生まれる まがたま』
~点滴堂企画展 

陶土 純金彩 スペイン式楽焼技法

 
あたらしい年を迎えたときに
凛と背すじを立てて
お茶を点て
調和。
ひとつの柱となる。
 
日本ではかみさまを
一柱、二柱・・と数えます。
それは
地上と天を結ぶエネルギーを視たときに
まさにそうだからだと
言葉と実際との同一に気づいたとき感動がありました。
 
 
今回点滴堂さんの企画展に1点だけ
お抹茶茶碗を出展させていただいています。
幼いころに蓮花の大地の上を転がるようにして慣れ親しんで遊んだ
愛知県赤津の土を胎土に、
これまた私のもうひとつの故郷スペインの技法にて焼き上げました。
祈りの場、モスクのタイルに使われる深いブルーに
鮮やかなお茶の緑が映えるすがたは
まきれもなくアースカラーの顕現と成るでしょう。
 
勾玉は誕生のエネルギー。
星を、世界を押すほどの圧倒的なエネルギーです。
一匹のウオはヒトの星の祖かもしれません。
そして舞台は深い海の底。
 

 
私は、ひとつのうつわ=ひとつの宇宙だと感じ取っています。
心穏やかに大地と繋がり うつわの舟に乗って
繊細に震えるひとつの宇宙へアクセスしてみてください。
 
 
◆点滴堂企画展『星降る夜のクリスマス・2022』
12月14日(水)~12月25日(日) 月・火定休
12:30~20:00 ※作家の在廊はありません
会場/点滴堂
http://tentekido.info
東京都武蔵野市中町1-10-3 2階 tel.090-6796-5281

 
 
 

海からの贈り物 ~点滴堂企画展

思えば人魚が点滴堂さんとのご縁を結んでくれました。
 

 
2017年ころ?の人魚のテーマの企画展。
あのとき出させていただいた沢山の人魚の作品たちも
いまはこのふたつの青い小皿だけが手元に残っています。

現在、星と海からの贈り物という内なるテーマで
点滴堂さんに人魚のうつわも出させて頂いています。

カップの内側に施したラスター(虹彩)釉は
スペインの窯元にいたときに出会ったペルシャ由来のガラスの技法。
お飲み物を入れると水面下でより一層
美しくあやしく輝き
揺らめきます。
 
 
◆点滴堂企画展『星降る夜のクリスマス・2022』
12月14日(水)~12月25日(日) 月・火定休
12:30~20:00 ※作家の在廊はありません
会場/点滴堂
http://tentekido.info
東京都武蔵野市中町1-10-3 2階 tel.090-6796-5281

 
 
 

三重奏 深い森 ~点滴堂企画展

 

『三重奏 深い森』
赤津の胎土に龍集星山の土 純金彩 梅枝 金木犀枝

諏訪の森の奥でのリトリートにてリアルに・・
 
満天の星の下
みんなで灯したちいさな火が点々と
 
オリオン流星群
美しい泉
流れ
・・うたと舞い
土の弦楽器
古い宇宙の記憶
懐かしい未来
宇宙
創造
 
総てが終わったとき
暗い森のなかから鹿の鳴き声
 
調和。
夢のような時間。
 
 
◆点滴堂企画展『星降る夜のクリスマス・2022』
12月14日(水)~12月25日(日) 月・火定休
12:30~20:00 ※作家の在廊はありません
会場/点滴堂
http://tentekido.info
東京都武蔵野市中町1-10-3 2階 tel.090-6796-5281

 
 
 

鳥つれづれ*点滴堂企画展より

 定休日開けまして明日からまた点滴堂さんの企画展、
「冬空の贈りもの 2022」会期の後半がはじまります。
 
改めまして現在出展中の作品より
鳥の指人形を
今日はご紹介させてくださいね。
 

私は物心ついた時からずっと身近に鳥と一緒に暮らしてきていて、
一番古い記憶はセキセイインコのつがいが家にいたこと。
それから黄色いセキセイインコが飛んできて仲間になり、
どこかから飛んできたジュウシマツを飼うことになったり、
初めて雛から育てたインコや文鳥たちがいたり・・
一度も家に鳥がいないということがなく、
30代のおわりまで様々な鳥たちと一緒に暮らしてきました。
鳥は家族と同じように思っています。
それにじっさい、犬猫よりも、鳥は人に近いように感じます。
(犬をはじめ他にもいろいろな動物を飼ったことありますが)
 
写真は雀を指にはめてみたところ。
スペインの窯元の町に住んでいた時、
そこはアンダルシア地方と呼ばれる南部だったのですが、
この地方で有名なセビージャ(日本では英語翻訳されてセビリアと
言われてるかもしれません)の町にある、アルカサルというお城に
何度か足を運びました。
アラビア式の城内にカフェがあって、
そこに集まる雀がとても人懐っこかったのを思い出します。
たいてい雀って警戒心が強い印象ですが、
アルカサルの雀はいすやテーブルの上に乗ってきて、
ともすれば、手からパンも食べてくれる。
パン目当てとはいえ、日本の町なかで
そんな風に間近に雀とたわむれることはなかったので
とてもうれしくてここのカフェには、友人も誘ったりして何度か行っています*
ちなみにスペインの雀は、日本のよりも体がちょっと大きめで、
日本の雀と柄は同じなのですが、
茶色の羽毛の部分が灰色がかった色をしていました。
いずれにしても雀、かわいいですよね。
写真の指人形は日本の雀です*
 

カラスとなるとわたしとしては神話の世界に思いをはせます。
カラスを神使のようにあつかう国は現代では少ないのでしょうか。
学生時代、
ある夏の暑い日に渋谷の松濤美術館に行く途中、
焼けたアスファルトの道でカラスが落鳥していました。
カラスをまぢかでみることもそれまであまりなかったのですが、
その羽色の美しさに思わず魅了されました。
『黒にはすべての色が入っている』といいますが、
まさにそれを体現していました。
つややかで、金も銀も入っていました。光も闇も。
きっとまだ魂が抜けてから間もないこともあるのでしょう。
まるで生きているかのようにあまりにうつくしいその死に体が、
あの陽光を浴びて艶やかに輝く羽色が、
記憶の中に鮮やかに残っています。
 
今回出展中の指人形の鳥たちには、
すべてラスター彩(虹彩)が施されています。
ですのでただ透明釉をかけただけではみられない、
なにかぴかぴか、つやつやとした感じ、感じられるでしょうか。
この時の何色と言えないようなカラスの羽色・鳥の羽色の美しさを、
このようにラスターを用いて作品に得たいと思ったのです。
 

日本の国鳥、キジ。
キジのオスをまぢかでみたことありますか?
信じられないくらい鮮やかで美しい鳥です。
こんな生き物が山の中に息づいているなんて・・・。
ひとはその土地に息づく自然の生き物たちの、
その美しさを、その存在の生命エネルギーを得たくて
肉食ということを始めました。
そういった神話が
世界各地に、神話としてのみならず、
古代からの民族的な風習としても残っています。
スペインの闘牛もそのひとつ。
(「闘牛」という言葉自体が、日本へは誤訳されたまま英語圏から
入ってきたので完全なる誤訳、残念この上ないのですが)、
これもまたイベリア半島で最も美しく勇猛な生き物のエネルギーを得る儀式であること、
これは地上に生きる命と魂の物語そのものであること、
闘牛士は神職と同等であること、
その太古の儀式が現代も脈々と受け継がれてきていることは
もしかしたら奇跡かもしれませんね。
(いま、先日おとずれた諏訪で脈々と行われてきた儀式のことをふと思いました)
日本のお相撲と闘牛はとても良く似ているとも言われています。
このことは
闘牛の本質を理解するうえでの一つのヒントになると思います。
 

鶏は、これはもう完全にイコール鳳凰ですね。
日本ではなぜ神社に鶏がいるのか、それをおもえば・・ですね。
この指人形では原種といわれるセキショクヤケイをモデルに作りました。
(鶏は神話にもとづいて語りだすと長くなるのでこのくらいで
ここではやめておきますね・笑)
 

こちらはガラパゴスペンギンです。
スペインに住む前に日本で習っていたスペイン語の先生方々の中で、
エクアドルの先生がおりました。
動物が大好きな私はガラパゴス諸島に子供のころから興味津々で、
同先生のクラスの中には実際に島に行ってきた人もいました。
お話によると、島では、人間が泊まることは許されておらず、
海上に停泊させた船で寝泊まりしながら毎日島に上陸して
自然の動植物や地形を見て歩いたとのこと。
島の動植物たちに触ってはいけないし、
靴底に付いた島の砂粒一つ、船内に持ち込んではいけない、
という決まりがあり、島自体がとても守られているそうです。
ですので、島の動物たちは人間を全く恐れておらず、
同じ生き物として興味津々に、
とくにこのガラパゴスペンギンは、
向こうから触ってくるので、
『島の動物に触ってはいけない』という決まりから、
人間の方がペンギンに触られないように逃げて回った、
というお話をうかがったことがあります*
 
エクアドルの先生は、
現地の家庭料理なども授業で実技で教えてくださるかたで
とてものんびりしたアットホームなクラスだったなあ、と思いだされます。
 

こちらはメキシコ系のインコ。
スヌーピーのようにあおむけになってお腹を丸出して寝ちゃってるのを
みたことがあり、この種のインコには普通のことのようで、
心もってかれました*
メキシコ系のインコをいつか飼いたいなあと昔は思っていましたが、
いまは身近にたくさんの野生の鳥たちがいる環境ですので
いつしかそんな思いも消えてしまいました。
それより・・もしかしたら、
最後に飼っていたオカメインコがなくなったとき、
当時日本で唯一だった鳥専門の病院の先生が、
一番最初に診ていただいたときに
『本当の鳥好きは鳥を飼ったりしません』
とおっしゃった言葉が心にささり、
そして私の魂が本当にそうだなあと深く感じたからかもしれません。
 

  
◆点滴堂企画展『冬空の贈りもの 2022』
11月30日(水)~12月11日(日)
月・火定休
12:30~20:00
会場/点滴堂
http://tentekido.info
東京都武蔵野市中町1-10-3 2階
tel.090-6796-5281
 
※作家の在廊はありません

 
~点滴堂ホームページより~
三鷹駅 北口 歩いて5分、
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