ヤマトタケルの湧き水のご縁

さきほどいつもの湧き水で、
男のひとが車を横付けにして
大容量のタンクをいくつも並べて
湧き水の水口にホースとりつけて独占して水汲んでいたのでした。

こちらをちらとみたけれど
車に寄っ掛かりながらタバコを吸い始めて、
まだ一個目のタンクに汲み始めたばかりの様子だったから、
これは終わるのに相当時間かかりそうな人だなぁと思い、
先に境内のお掃除をさせていただこうと
参道の階段を上っていきました。
 
するとお社の前で
70代くらいのご婦人がお掃除されていて、
今日は、昨日の暴風雨で落ちたつつじが沢山だったので、
『お手伝いさせてください』と
お声かけて私も一緒にお掃除を始めました。

はじめは、
『今年は花が早いですねぇ』とか、
落ちてる花の中に
『これは何の花でしょうねぇ?』等々、
お話ししていくうちに、
食べられる野草のお話になり、
そのままお掃除もはかどって
やがてさっぱりとした境内になりました。
 
私が『ここのお社が大好きなんです』と言うと、
『そういう方多いですねえ。
私は子供の頃からだからよくわからないけど。』
とおっしゃるので
『産子さんですか?お近くですか?』と訊ねると、
『あそこのあの家、あれ私の実家なの。』と指差しながらおっしゃる。

なんとその家は、
3年ほど前の年末に、
私がこのお社に鈴紐をご奉納したくて
近所の方々をあちこち訪ね歩いてたどり着いた
この湧水のお社の産子総代さんのお宅でした。
そのときはお留守でお会いすることが叶いませんでした。
 
『28日はお不動さんの日なので、
明日はいつもよりここにお参りに来られる方が多いかもしれないと思って、
今日お掃除に来たんです。』
とおっしゃる。
『子供の頃、おばあさんにつれられてお掃除に来てからずっとなの。』と清々しく微笑まれました。
 
それから、
この山の街道のこと、
昔の湧き水の井戸や水口のこと、
この数十年で全く変わってしまったこと、
『昔は牛に水を飲ませに来たり、
洗濯場も作られていたから、
洗濯に来たりしたのよ。』と、
沢山の生き生きとした地元の人たちと
湧き水のようすをお聞かせ下さいました。
 
『私たちはここを「お不動さま」と呼んでるけど
ここでご祭事のお水取りをされる里の神社の方々は「吾妻神社」って呼ぶのよね。』
それから繋がって
ヤマトタケルと弟橘媛のお話、
そして湧き水と不動明王のお話を
ご婦人と沢山しました。

 
それから『お社、あけましょうか』と言ってくださり、
いつも格子越しにお参りさせていただいていたお社の扉を、
閂を抜いて広く開けてくださり、
開かれたお社の中のなんと明るいこと!
 
何の障害物のない二つの石像を間近で拝観させて頂きました。
ありがとうございますという
気持ちがきらきらと泉のように湧いてきて止まらない。
 
『今日は、宝物のような日です。
ありがとうございました。』
と、感謝の気持ちをお伝えして
お別れ致しました。
 
きれいさっぱりとした参道の階段を降りて、
いつものようにヤマトタケルの湧き水を汲ませていただいてから
帰途についたのでした。

3年前、お会いすることできなかった
産子総代のかたに、
お不動さんの日の事も何も知らない私が、
今日お会いすることができました。
とても不思議な巡り合わせを感じます。ご縁に心から感謝致します。
 

 

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