水無月

庭の土の中から
コガネムシが生まれ出でてきました*
 
まだうまく飛べないみたいで、
干していたシーツにつかまっては飛びつかまっては飛びを繰り返して
そのうちようやく屋根の上まで高く飛んでゆきました。
 
生まれたてのコガネムシが
もう夏が来たことを知らせてくれたように思いました。
 

 
『人は生まれてから三か月間の気候に合った体質に生育する』
というのをむかし本で読んだことがあります。
だとすれは7月下旬に生まれた私が
夏の暑さに滅法強いのも納得。

スペインで住んでいた村は、
イベリア半島で最も気温が上がる盆地地帯で
別名「アンダルシアのフライパン」と呼ばれる地域でした。
夏は40℃越えは当たり前で、
この地方の人たちは、命を守るために
「シエスタ」という、最も日差しの強い時間帯は外出しないという
地域的風習がいまもあります。
日本は熱中症を恐れますが、
こちらは心臓麻痺で無くなる方が夏にとても多い。
車の窓をうっかり開けてしまい熱風を吸い込んで心臓が止まり。。
というようなニュースが夏場ラジオからよく流れていました。
『そっと呼吸しないと肺がやけどする』と地元ではよく言われていましたが、
あながちウソとも言えません。
初めての夏をスペインで迎えた当時、
気温が46℃に上がった時、
私は朝から耳鳴りがして
陶工房のみんなに
『今日は朝から耳鳴りがするんだけど』
というと
『暑いときはみんなそうだよ~。』
と、そんなのあたりまえじゃん的に答えが返ってきました。
人間って気温がここまで上がると
耳鳴りがするものなんだ~、と
新たな人体機能を知ったのでした。
 
 
ちょっと話がそれますが、
日本の今年の6月はちゃんと朝と夜は涼しくて、
小学生時代の夏の始まりを思い出します。
これで毎日夕立が降るようになったら完璧な日本の夏!
ここ数十年、天気予報がよく当たるようになってから、
気候がおかしくなりました。
毎年の異常気象、猛暑とあおるやり方は、
昨今の伝染病のやりかたと同じ意図的な手法です。
私はマスコミが数値で出されることは信用していないので、
これには関連があるように感じています。
 
 
ともあれ
閑話休題。
 
6月のたのしみのひとつは「水無月」。
なんだか毎年買いそびれていて
今年は久しぶりに手に入りました。
地元の和菓子屋さんのてづくりです。
 
今日久しぶりに「水無月」をいただいていて
気付いたことがありました。
 
スペインの有名な夏のデザートに
arroz con lecheというのがあるのですが、
お米を甘い牛乳でとろとろに煮込んでから
それを容器に入れてよく冷やして、
シナモンパウダーをかけて頂きます。
各家庭でも作りますが(私もスペインの友人におそわってよく作りました)
スーパーでもヨーグルトのような感じでに本当に普通に売っています。
 
スペインに住み始めた当初は、
お米を甘い牛乳で煮るなんて~・・と敬遠していたのですが、
翌年の夏くらいからでしょうか、
これがなんともおいしく感じるようになって、
自分でもよく作るようになりました。
 
上記しましたように過酷なスペインの夏に、
食欲のないときでも
arroz con lecheなら
のどごしよく
胃腸に負担をかけずに
手っ取り早く栄養補給が出来るんです。
それもおいしく。
一種の食す点滴・栄養ドリンク剤
みたいなかんじでしょうか。
 
それで今日、
水無月をいただいて氣づいたんです。
 
6月といえば和菓子の水無月ですが、
これは初夏の湿度や暑さに
がんばっている体への応援補助のお菓子なんだ、と。
思えばスペインのarroz con lecheと原料も似てる。。
水無月はお米をお餅のようにして消化よくして
こちらは日本人的に違和感なく小豆を甘く煮たものをのせて。。
 
気候と食と体の連携システムは
国が違っても
みなもとで培われる事はきっと同じなんだなあと 
arroz con leche と水無月の類似をなんだか心親しく思うのでした。
 

地元の和菓子屋さんの水無月
美味しくいただきました*