『おきなぐさ. うずのしゅげを知っていますか。』
むかしは群生してどこにでも見られたそうです。
宮沢賢治さんの「おきなぐさ」には
肉体と魂の別れ
つまり魂の移行が
とても正確に
そしてとてもやさしく描かれていました。
*
「おまえはうずのしゅげはすきかい、きらいかい」
蟻は活発に答えます。
「大すきです。誰だってあの人をきらいなものはありません」
「けれどもあの花はまっ黒だよ」
「いいえ、黒く見えるときもそれはあります。
けれどもまるで燃えあがってまっ赤な時もあります」
「はてな、お前たちの眼にはそんなぐあいに見えるのかい」
「いいえ、お日さまの光の降る時なら
誰にだってまっ赤に見えるだろうと思います」
<中略>
私は考えます。
なぜひばりはうずのしゅげの銀毛の飛んで行った北の方へ飛ばなかったか、
まっすぐに空の方へ飛んだか。
それはたしかに、二つのうずのしゅげのたましいが天の方へ行ったからです。
そしてもう追いつけなくなったとき
ひばりはあのみじかい別れの歌を贈ったのだろうと思います。
そんなら天上へ行った二つの小さなたましいはどうなったか、
私はそれは二つの小さな変光星になったと思います。
なぜなら変光星はあるときは黒くて天文台からも見えず、
あるときは蟻が言いったように赤く光って見えるからです。』
宮沢賢治「おきなぐさ」より一部転載
*
生と死のあわい。
可視と不可視の世界が逆転する接点
賢治さんにはいつも視えていたのでしょう。
わたしたちはいままさにそこにいるのです。
◆点滴堂企画展『道ばたのお花の妖精』
開催中~7月24日(日)まで
12:30-20:00 月・火曜定休
会場 点滴堂
HP http://tentekido.info
東京都三鷹市中町1-10-3 2階
三鷹駅北口より徒歩5分
tel.090-6796-5281
※作家の在廊はありません
点滴堂さんHPより
三鷹駅 北口 歩いて5分、
「点滴堂」はギャラリースペースのあるブックカフェ。
ちいさな店内にぎっしり詰まった書棚の古本はすべて販売してます。
作品の展示を楽しみつつ。
お気に入りの1冊を選びながら。
おいしい珈琲をご賞味ください♪