つれづれ ~タイムポケットの日

陶芸をしていると、その工程の流れの中では
どんなに締切迫って忙しい時でも必ず窯焚き後、
炉内温度が下がるのをただ待つだけの
何もできない日というのがあります。
窯焚きあとの翌日丸一日は
窯出しができないほど炉内温度はまだ高いのです。
 
炉内温度が自然に下がって窯出しができるまで
次の工程はできませんから
制作工程の流れの中で時間を外したエアポケットの日、
今日はそんな日でした。
 
陶芸を始める前まではインスタレーションをメインに
制作活動していた時期があり、展覧会などの締め切りの前は、
不眠不休で制作を頑張るのが当たり前に当時はなっていましたから、
陶芸を始めてから初めて『あきらめる』ことを覚えました。
それでも最初は、締め切りに間に合わせたくて
何とか陶土を早く乾かそうとドライヤーを使ってみたり、
窯出しも早く出さないと締め切りに間に合わないからと
ごまかしごまかし早めに窯の蓋を開けてみたりと、
いろいろ人の都合に合わせようとしておりましたが、
そういった不自然なことをした作品は、すべて割れました。
自然の条件に叶わないものは無理がかかって割れるのです。
そうやって陶芸が、土が、
『あきらめる』ことの大切な意味を教えてくれました。
『あきらめる』ことでわたしの心身は
自然のながれのなかに還ることができたのです。
土と陶芸におそわることはとても多くて、
生き方が変わり、どんどん楽になりました。
『あきらめる』ことを知り、解放されました。
 

 
それで改めまして今日はエアポケットの日でした。
 
今朝起きたら昨日仕込んでおいたパン生地がびっくりするほど膨らんでいて。
思っていた以上に酵母活動が活発だったようです。
りんご酵母の香りがあたり一面に漂い、
羽衣のようなふわふわの生地を調えてぴったりのタイミングで二次発酵に持って行き
これ以上ないという焼き上がりに成ってくれました。

小麦粉と塩と酵母液、具にはくるみの
シンプルなパンでしたが一口ほおばると自然の甘みと旨味引き出されていて
今日の朝昼ごはんに華をそえてくれたのでした◎

感謝の朝昼ごはん***
パン生地の一部でドーナツも作りました。

窯だしができるのは明日以降なので
今日は朝昼ごはんのあと海に行きました。

 

 

 

月がいよいよふっくらとしてきました。
 
 

土と共に過ごす全てが癒される信頼と安心のここちよいとき。

季節の大地の巡りをこうして目の前にして
美味しくいただくことができて改めて感謝です*

デザートにはお福分けいただいたサルナシを。
キウイの原種だそうで
この季節のビタミン濃い果実、本当にありがたい。

大地は季節ごとに必要なたべものをちゃんと用意してくれている。
 

イノセント~茶会瞑想のお茶器にピンク色のイメージが来ているので
もう忘れかけていた遥か昔に準備していた桃色の化粧土を
今回ひさしぶりに土のストックから取り出しました。
 
実は、ピンクの釉薬を茶杯に掛けているビジョンを
昨日の明け方、起き抜けの変性意識状態で視たのでした。
 
ですから今日、そのビジョンで伝えられたままに
そう、
化粧土の濃度も
茶杯をいとおしむような
いいこいいこをするような
おむすびをやさしくにぎるような、大きく包み込む舞の手つきも
・・言葉でいえばそんなイメージでしょうか、
高次より伝えられたビジョンそのままに再現しながら釉と共に舞いました。

むかし陶芸を頭で考えていた頃は、釉掛けがとても苦手でしたが
今はそんな風に思っていた自分が信じられないくらい
釉掛けはとても深い癒しの高密度な時間です。
 
最近、陶芸教室はしないのですか?と数名の方よりご質問受けたのですが
もしいつかまたわたしが陶芸をどなたかにお伝えするような機会があるなら、
時間に制限されない環境で
土に誠意を持って
「釉掛けはとても深い癒しの高密度な時間」
例えばそういったことを中心にお伝えしてゆきたいと思いました。
 
土と共に過ごす全てが癒される信頼と安心のここちよいとき。

 
数日にわたるリトリートでの陶芸体験というのもいいなあ、
という提案が心に浮かびました。
そんな需要があるのなら実現できたらよいですね。
もし本当にそんな陶芸教室が実現可能ならば、
きっと大地の女神がその場に祝福にお越しになるでしょうね。
 
今回制作しましたお茶器ののこり土を再生するために
その準備も致しました。

土を小石の大きさにしていったん乾燥させてからお水を加え、
ふたたび土中の微生物に活動していただきます*

ひとつ器を作る「成形」だけが陶芸ではなく
(それは誰かが作った合理的な陶芸教室のマニュアルです)
すべてがつながって宇宙の理ように繰り返しており、
しかもその繰り返しは、自然と同じようにいつも同じというわけでもなく、
似ているけれど毎瞬ことなる・・そのゆらぎを感じ取ることは
まさにこの地球で行われている
命と祈りのゆらぎを感じることと同じだと思っています。
 
ほんとうに
わたしも20年近く教えてきた既存の陶芸教室では
陶芸のことの全ての行程の十分の一も教えてはいなかったのではないでしょうか。
うつわの本質を辿るとそれはただの道具ではないことが分かってしまったいま、
命あるものとのおつきあいを思えば
それをはぐくむようなお付き合いがしたいと思います。
むげにはできないことがたくさんあります。
土は人と同じですものね。
 
*おまけ*
きょうは、古くなったダブルガーゼのチュニックを雑巾におろしました。
ミシンで縫って四枚の雑巾に仕上がりました。
陶芸の作業の中で雑巾は大切な道具の一つです。
上質のオーガニックコットンのダブルガーゼの雑巾なんてとてもぜいたく。
ふっくらと水含みのよい使っていて心地よい雑巾、うれしいです。

 
今夜は窯番です。
窯の様子を見ながら
このおぼえがきつれづれ
したためてみました*